行動できない理由の構造【3】
なぜ「分かっているのに」同じところで止まるのか
ここまで読んできた人は、
もう分かっていると思います。
行動できないのは、
怠けでも、意思の弱さでもありません。
それでも、多くの人がこう言います。
「理屈は分かった」
「仕組みも理解した」
「でも、やっぱり動けない」
この段階に来ている人は少なくありません。
ここで一つ、はっきりさせておきます。
行動できない理由を理解しただけでは、行動は変わりません。
なぜなら、
止めているのは「考え」ではなく、
反応だからです。
人は強い感情を伴う経験をすると、
その出来事を「記憶」としてではなく、
反応のパターンとして体に残します。
- 失敗した直後の体の感覚
- 否定されたときの緊張
- 怒られた瞬間のこわばり
これらは、
あとから思い出すものではありません。
似た状況に近づいた瞬間、
考える前に、勝手に立ち上がります。
そのため、頭ではこう思っています。
「今はもう大丈夫なはずだ」
「前とは状況が違う」
「今回はうまくやれる」
それでも、体は反応します。
重くなる。
不安が出る。
理由もなく避けたくなる。
これは矛盾ではありません。
理解と反応は、別のレイヤーで起きているからです。
ここで多くの人が、
さらに自分を追い込みます。
「もう分かっているのに」
「いい加減、変わらないと」
「いつまで同じところで止まっているんだ」
この自己圧迫が、
反応をさらに固定します。
反応は、
抑え込まれたり否定されたりすると、
消えるどころか強まる傾向があります。
この段階の問題は、
行動できないことそのものではありません。
行動しようとするたびに、
自分の中でブレーキと戦っている状態です。
この内側の衝突が続くと、
疲労だけが溜まり、
行動への抵抗感は強化されていきます。
ここまで来ると、
よくある対処法はほとんど機能しません。
- 前向きに考える
- 小さく始める
- 慣れるまで繰り返す
これらは、
反応が浅い段階では有効でも、
深く結びついた反応には逆効果になることがあります。
整理します。
- 分かっているのに止まるのは、怠けではない
- 思考ではなく、反応が先に起きている
- 理解だけでは、反応は更新されない
この前提を知らないまま努力すると、
「分かっているのに変われない自分」を
さらに責めることになります。
このシリーズでは、
反応を無理に消そうとはしません。
まず、
どんな場面で反応が出るのか。
どの強さで出るのか。
何と結びついているのか。
そこを正確に把握することが、
次の段階になります。
次回は、
「努力・継続・頑張り」が、なぜこの反応を固定してしまうのか」
その構造を扱います。
ここが理解できると、
「なぜ今までうまくいかなかったのか」が
かなりはっきりします。
河野 牧人
